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第1土曜特集 ゲノム解析時代の血液腫瘍学
骨髄異形成症候群におけるゲノム異常と臨床的有用性
Genomic abnormalities and clinical applications in myelodysplastic syndromes
永田 安伸
1
Yasunobu NAGATA
1
1日本医科大学血液内科
キーワード:
骨髄異形成症候群(MDS)
,
ゲノム異常
,
臨床応用
,
個別化医療
Keyword:
骨髄異形成症候群(MDS)
,
ゲノム異常
,
臨床応用
,
個別化医療
pp.44-52
発行日 2025年1月4日
Published Date 2025/1/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292010044
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骨髄異形成症候群(MDS)は,時に診断に苦慮し,正確な予後予測が極めて重要な造血器腫瘍であり,染色体異常,芽球数,血球減少に基づきスコアを算出する国際予後判定システム(IPSS)がこれまで用いられていた.TP53やSF3B1を含むいくつかの遺伝子異常が予後に関わることが報告されていたが,多くの遺伝子変異が共存する特徴により,体系的なリスク層別化は困難であった.わが国において国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査が保険承認されたことから,得られたゲノム異常をどのようにMDS診療の臨床応用につなげるのか検討が必要である.①診断に苦慮する血球減少症例の高精度な診断,②3,000人以上のMDSを対象に作成された高性能な新規予後予測モデルであるIPSS-Mの適用,③今後の個別化医療確立のための治療法選択の支援などが,MDSに関連するゲノム異常の臨床的意義として期待されている.本稿では,臨床的意思決定を導くためのリスクスコアリングシステムの開発や,MDS患者のリスク評価と治療戦略の改善における包括的なゲノム解析の潜在的利点について概説する.
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