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第1土曜特集 ゲノム解析時代の血液腫瘍学
造血器腫瘍におけるスプライシング因子変異の役割と治療標的
The role of splicing factor mutations and therapeutic targets in hematologic malignancies
和泉 拓野
1
,
吉見 昭秀
1
Takuya IZUMI
1
,
Akihide YOSHIMI
1
1国立がん研究センター研究所がんRNA研究分野
キーワード:
RNAスプライシング
,
スプライシング因子(SF)
,
アンチセンスヌクレオチド(ASO)
,
ネオアンチゲン
Keyword:
RNAスプライシング
,
スプライシング因子(SF)
,
アンチセンスヌクレオチド(ASO)
,
ネオアンチゲン
pp.62-66
発行日 2025年1月4日
Published Date 2025/1/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292010062
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造血器悪性腫瘍において,スプライシング因子(SF)遺伝子の変異は高頻度に認められる.SF3B1変異のなかでも代表的なK700E変異は,異常な3′スプライスサイト(3′ss)の使用を引き起こし,スプライシング異常を引き起こす.一方で,SRSF2のホットスポット変異は,特定のRNAモチーフへの結合選択性を変化させ,Cリッチな配列を持つエクソンの包含を促進することでスプライシング異常を誘発する.これらSF変異は本来正常に行われるべきスプライシングを無数に変調させ,ナンセンス媒介mRNA分解(NMD)などの機序により腫瘍発生や特定の病態の原因となるタンパク質発現低下に関与すると考えられている.近年,スプライソソーム阻害薬やアンチセンスヌクレオチド(ASO)などの,SF変異を有する腫瘍細胞に特異的に作用するような治療戦略の開発が進んでおり,今後の進展が期待されている.
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