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第5土曜特集 腫瘍免疫――免疫ネットワークから考える基礎と臨床
ネットワークの各因子と,その因子を応用or標的とした基礎研究の現在と可能性
【ICI臨床的バイオマーカーの理解への基礎知識】
腫瘍免疫におけるがん抗原の役割
-――ネオアンチゲン,TMB,MSIの基礎知識
The role of cancer antigen in tumor immunology
篠原 周一
1
,
松下 博和
1
Shuichi SHINOHARA
1
,
Hirokazu MATSUSHITA
1
1愛知県がんセンター研究所腫瘍免疫制御トランスレーショナルリサーチ分野
キーワード:
ネオアンチゲン
,
腫瘍遺伝子変異量(TMB)
,
マイクロサテライト不安定性(MSI)
Keyword:
ネオアンチゲン
,
腫瘍遺伝子変異量(TMB)
,
マイクロサテライト不安定性(MSI)
pp.444-450
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28105444
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腫瘍遺伝子変異量(TMB)や変異由来のネオアンチゲンは免疫原性に関わる重要な概念である.ネオアンチゲンは,がん細胞の体細胞変異に由来する変異タンパク質であることから,腫瘍特異的な標的分子であり,TMBやマイクロサテライト不安定性(MSI)が多くなるほど数が増えると考えられている.TMBやMSIは免疫チェックポイント阻害薬の適応を決定する重要なバイオマーカーであり,実臨床でもPD-L1と相互補完的に活用されている.一方で,TMBはがん種ごとに有用性が異なっており,すべてのがん種に一律に適用してよいのか疑問が呈されており,がん種ごとにマーカーの意義が異なる.さらにネオアンチゲン,TMB,MSIなどが単なるバイオマーカーとしての役割だけでなく,がんの免疫編集に深く関与しており,免疫チェックポイント阻害薬の耐性化を解明する因子となる可能性があることから,今後ますます重要性が高まっていくであろう.
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