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特集 ミトコンドリア――種々の疾患との関連と新規治療法のターゲットとしての可能性
ミトコンドリア置換法によるミトコンドリア病の治療法と日本の現状
Mitochondrial replacement therapy as a treatment for mitochondrial disease and the current state of Japan
佐藤 壮樹
1
,
立花 眞仁
1,2
Takeki SATO
1
,
Masahito TACHIBANA
1,2
1東北大学病院産婦人科
2同大学院医学系研究科周産期医学分野
キーワード:
ミトコンドリア病
,
ミトコンドリア置換法(MRT)
,
生命倫理
,
特定胚指針
Keyword:
ミトコンドリア病
,
ミトコンドリア置換法(MRT)
,
生命倫理
,
特定胚指針
pp.471-475
発行日 2024年11月9日
Published Date 2024/11/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291060471
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ミトコンドリアは細胞内のエネルギー産生器官として重要な役割を担っている.その異常により発症する疾患を総称してミトコンドリア病とよぶが,神経や筋肉,心臓などに影響する重篤な病態も存在する.そこで母系遺伝というミトコンドリアの特徴を利用し,卵子や受精卵の段階で健常人のものと入れ替える “ミトコンドリア置換法(MRT)” が開発された.この方法には世代を超えた安全性という技術的な課題や,“3人の親” などの倫理的な課題があるが,長年の議論のうえ,イギリスやオーストラリアでは人での臨床試験が認められた.日本でも核置換技術を用いたミトコンドリア病研究の一部において,新規受精胚の作成が容認され指針が改定されるなど,徐々に規制は緩和されつつあるものの,基礎的研究領域にとどまっている.本稿では,MRTやそれを取り巻く日本の現状について概説する.
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