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連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.26
牛海綿状脳症(BSE)
-――無視できるリスクまでの道のり
Bovine Spongiform Encephalopathy(BSE)
――The long path to negligible risk
横山 隆
1
Takashi YOKOYAMA
1
1慶應義塾大学医学部感染症学
キーワード:
牛海綿状脳症(BSE)
,
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)
,
プリオン
,
人獣共通感染症
Keyword:
牛海綿状脳症(BSE)
,
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)
,
プリオン
,
人獣共通感染症
pp.217-221
発行日 2024年10月19日
Published Date 2024/10/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291030217
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◎牛海綿状脳症(BSE)は,1986年英国で確認されたプリオンに起因する致死性の牛の疾病である.当初,狂牛病(mad cow disease)ともよばれたが,病気の特徴からBSEが一般的な名称となっている.BSEは畜産廃棄物である肉骨粉の利用により蔓延した,いわば人間が作り出した疾病といえる.BSEは世界中で19万頭以上の発生が確認され,わが国内でも2001~2009年にかけて36頭の感染牛が確認された.2003年以降には,老齢牛に非定型BSEとよばれる病型も認められている.1996年には,BSEに起因するヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が発生し,本病は人獣共通感染症に分類された.各種対策の効果により,多くの国においてBSEリスクは無視できるレベルに達し,本病は過去の病気と考えられつつある.これまでの対策の努力を無にしないためにも,BSEの再興防止のための対策の継続と新興プリオン病への警戒が重要である.
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