特集 人獣共通感染症—獣医衛生領域から見た対策
わが国における牛海綿状脳症(BSE)対策とリスク評価
大快 峻輝
1
1内閣府食品安全委員会事務局評価第二課プリオン・自然毒等係
pp.14-20
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209051
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はじめに
2001年9月のわが国における牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy:BSE)の発生は当時,深刻な社会問題となるとともに,食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)の制定によるリスクアナリシス注1の概念の導入といった,わが国の食品安全行政の体制を見直す契機となった.以来,17年以上が経過した現在では,各国のBSE対策が功を奏し,わが国のみならず世界中でBSEの発生は著しく減少している.
食品安全委員会は,食品安全基本法の下,規制や指導などの「リスク管理」を行う関係行政機関(厚生労働省や農林水産省など)から独立して内閣府に設置された機関であり,科学的知見に基づき,客観的かつ中立公正な立場から,食品に含まれる可能性のある危害要因が人の健康に与える影響について「リスク評価」を行っている1).
本稿では,BSEの発生状況や対策などに触れつつ,わが国におけるBSEの食品を介した人へのリスクに関する議論の経緯について解説する.
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