連載 公衆衛生Up-To-Date・16
[動物衛生研究所発信・その2]
BSEと人への伝達性
横山 隆
1
,
筒井 俊之
1
1農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
pp.353-357
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401103014
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プリオン病
感染性蛋白質「プリオン」に起因する疾病は,ヒトおよび動物で認められる(表1).ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease;CJD)は,わが国で年間200人ほど(100万人に1人)の発生があり,その原因により孤発性(約77%),遺伝性(約17%),獲得性(約6%)に分けられる1).孤発性CJDは,60歳代に多く,進行の早い認知機能障害,視覚異常,小脳症状,ミオクローヌスを特徴とし,数カ月以内に無動無言となる.遺伝性CJDは,宿主のプリオン蛋白質をコードする遺伝子の変異によって,自発性に生じる.獲得性CJDには脳下垂体から作られた成長ホルモンや硬膜移植による医原性CJD,後述の変異型CJDが含まれる.一方,動物のプリオン病として,ヒツジ・ヤギのスクレイピー,シカの慢性消耗病,牛海綿状脳症(bovine spongiform encephalopathy;BSE)などがある.しかし,変異型CJDが確認されるまで,動物とヒトのプリオン病の関連は知られていなかった.
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