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特集 好酸球細胞外トラップと疾患―― “エフェクター細胞” の新しい視点
ETosis/EETsの視点から考えるアレルギー性気管支肺アスペルギルス症/真菌症の病態と治療
Pathophysiology and treatment of allergic bronchopulmonary aspergillosis/mycosis from the perspective of ETosis/EETs
佐々木 寿
1
,
宮田 純
2
Hisashi SASAKI
1
,
Jun MIYATA
2
1防衛医科大学校内科学(感染症・呼吸器)
2慶應義塾大学医学部呼吸器内科
キーワード:
好酸球
,
粘液栓
,
ETosis
,
細胞外トラップ
Keyword:
好酸球
,
粘液栓
,
ETosis
,
細胞外トラップ
pp.203-208
発行日 2024年10月19日
Published Date 2024/10/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291030203
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アレルギー性気管支肺アスペルギルス症/真菌症(ABPA/M)は,気道に腐生した真菌によって引き起こされる呼吸器疾患である.原因真菌としてはAspergillus fumigatusによる頻度が最も高いが,スエヒロタケなど他の真菌による発症例も報告されている.喘息合併例が大半であり,血液検査では血中好酸球増多と総IgE値高値が認められる.ABPA/Mの気道では粘液栓が特徴的な所見であり,局所に多数集積した好酸球がETosis(extracellular trap cell death)を介して粘液栓を形成する.Aspergillus fumigatusの菌体あるいはその構成成分,IL-5,IFN-γなどのサイトカイン,真菌特異的IgGによる架橋は好酸球を協調的に活性化し,ETosisを誘導しうる.治療における第一選択薬として副腎皮質ステロイド薬が使用されるが,漸減後の再燃率は非常に高い.抗真菌薬と生物学的製剤を組み合わせた薬物療法と環境整備などの対策を取り入れた “好酸球性ETosisと好酸球細胞外トラップ(EETs)の制御を目標とした治療戦略” が今後期待される.
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