特集 喘嗚がある患者に出会ったら―病態をカテゴライズして診断する
[Chapter 5] アレルギー/膠原病と喘鳴
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
池田 早織
1
,
四方田 真紀子
1
1がん・感染症センター都立駒込病院 呼吸器内科
キーワード:
粘液栓
,
中枢性気管支拡張
,
線維化
,
非特異的所見
Keyword:
粘液栓
,
中枢性気管支拡張
,
線維化
,
非特異的所見
pp.1145-1147
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_1145
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▪アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は既存の肺疾患に伴うことが多く,Ⅰ,Ⅲ,Ⅳ型アレルギーの関与により発症,増悪する疾患である.
▪なかでも重要な過程は,吸入した真菌が気道内で持続生息し,粘液栓が形成され好酸球炎症を繰り返すことである.この結果,不可逆的な中枢性気管支拡張を引き起こす.
▪また,末梢気管支にも肉芽腫などの病変を形成し,最終的には囊胞性変化や線維化を生じ,同部位を中心とした慢性気道感染も発症しうる.
▪上記器質的異常,とくに粘液栓による影響で局所性の喘鳴が生じると考えられているが,他疾患でも聴取されることがあり非特異的所見であることに留意して診療にあたるべきである.
© Nankodo Co., Ltd., 2023