今月の主題 肺の炎症性疾患—最近の動向
真菌と寄生虫
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
伊藤 章
1
Akira ITO
1
1横浜市立大学医学部・第1内科
pp.348-349
発行日 1980年3月10日
Published Date 1980/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216435
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はじめに
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は,アスペルギルスが原因抗原となり,アトピー性体質者にI型とIII型のアレルギー反応が同時に起こったものと考えられ,外因性アレルギー性喘息と外因性アレルギー性肺胞炎の中間に属する.Pepys2)は,アスペルギルスの胞子あるいは菌体が原因となって起こるヒトの呼吸器疾患を,アトピー性素因の有無により表1のごとく分けている.
非アトピー性体質者に起こる外因性アレルギー性肺胞炎でアスペルギルスによるものは麦芽業者にみられるA. fumigatusやA. clavatusの大量吸入が原因となる麦芽肺症malt worker's lungが知られている.アトピー性体質者のアレルギー性気管支肺アスペルギルス症は,1952年英国でHinson1)らによって報告されたのが最初で,英国での報告例が多い.米国では従来症例は比較的少なかったが,1967年Spotnitz3)らの報告以来数十例を数え,本邦では1971年加藤4)らによる第1例が最初である.
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