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特集 拡大新生児スクリーニング検査の成果と展望
拡大新生児スクリーニングにおける倫理的・法的・社会的課題
Ethical, legal, and social issues in expanded newborn screening
瀬戸 俊之
1,2
Toshiyuki SETO
1,2
1大阪公立大学大学院医学研究科臨床遺伝学
2同医学部附属病院ゲノム医療センター副センター長・病院教授
キーワード:
新生児スクリーニング(NBS)
,
生命倫理
,
ELSI(倫理的・法的・社会的課題)
,
差別
,
アクセスの公平性
Keyword:
新生児スクリーニング(NBS)
,
生命倫理
,
ELSI(倫理的・法的・社会的課題)
,
差別
,
アクセスの公平性
pp.963-970
発行日 2024年9月14日
Published Date 2024/9/14
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290110963
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新生児スクリーニング(NBS)は,治療可能な疾患を対象に,それらの疾患を有する児の一生にわたる予後改善と健康維持を目的としてユニバーサルに行われてきた.近年は新規治療法の保険収載に伴い,さらに対象疾患を加えた拡大NBSが検討されている.NBSは国内外でELSI(倫理的・法的・社会的課題)の観点からも議論が積み重ねられてきた.ELSIの観点からは,対象疾患をどのように選択するのか,アクセスの公平性(自治体や施設によって実施対象疾患の種類に差がある),偽陽性など検査精度にまつわる問題,発症時期や重症度に多様性のある疾患への対応,児の確定診断によって明らかになりうる血縁者リスクへの対応など,課題は多い.進化を続けるNBSが対象疾患を拡大しながら全国に地域格差なく一生にわたる健康向上に最大限いかされるためには,ELSIの視点からも議論を重ねていく必要がある.
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