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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
内分泌疾患と診療科連携
内分泌代謝領域におけるDOHaD学説
The DOHaD theory in endocrinology and metabolism
橋本 貢士
1
Koshi HASHIMOTO
1
1獨協医科大学埼玉医療センター糖尿病内分泌・血液内科
キーワード:
Dutch Famine(オランダ飢餓)
,
Barker仮説
,
DOHaD学説
,
エピジェネティクス
Keyword:
Dutch Famine(オランダ飢餓)
,
Barker仮説
,
DOHaD学説
,
エピジェネティクス
pp.831-835
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090831
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DOHaD学説は,胎生期や乳児期のさまざまな環境が成人期の健康維持あるいは疾病の罹患に大きな影響を与えるという概念である.当初は多くの疫学研究および動物実験から,母体の妊娠期から授乳期にかけての低栄養および過剰な栄養摂取が,子の成長後における肥満や2型糖尿病などの代謝異常の発症リスクを高める可能性が示されてきた.最近では,母体の妊娠糖尿病(GDM)などの高血糖状態,高血圧,さらには母体へのステロイドや甲状腺ホルモン,微量元素やビタミンDひいては内分泌攪乱物質の影響により,子の将来の高血圧や認知行動異常の発症も規定されうることが明らかになってきた.またDOHaD学説の分子機構として,エピジェネティクスを介した長期にわたる遺伝子発現の変化が想定されている.したがって,妊娠期および授乳期の母体の栄養状態やホルモン状態を適切に管理することで,子の将来の成人期の疾患リスクを低減することが期待される.
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