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特集 新規がん免疫療法としてのT-cell engagerの進歩と可能性
T-cell engagerに特徴的な副作用および毒性マネジメント
Side effects and toxicity management characteristic of T-cell engager
湯田 淳一朗
1,2
Junichiro YUDA
1,2
1国立がん研究センター東病院血液腫瘍科
2同先端医療科
キーワード:
二重特異性抗体(BsAb)
,
CAR-T療法
,
サイトカイン放出症候群(CRS)
,
免疫エフェクター細胞関連脳症症候群(ICANS)
,
tocilizumab
Keyword:
二重特異性抗体(BsAb)
,
CAR-T療法
,
サイトカイン放出症候群(CRS)
,
免疫エフェクター細胞関連脳症症候群(ICANS)
,
tocilizumab
pp.506-515
発行日 2024年8月17日
Published Date 2024/8/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290060506
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本稿では,主に二重特異性抗体(BsAb)の臨床開発とその免疫学的有害事象に焦点を当て,がん免疫療法の最新の発展について述べる.BsAbは2つの抗原特異性を持つ抗体で,腫瘍細胞とT細胞を架橋することでT細胞を活性化し,抗腫瘍効果を発揮する.いくつかのBsAb製剤が血液がんの治療薬として承認されており,さらに新規BsAb製剤の開発が進められている.CAR-T細胞療法は,患者のT細胞に人工的な抗原受容体(CAR)を導入し,腫瘍細胞を特異的に攻撃する治療法である.両療法において,サイトカイン放出症候群(CRS)と免疫エフェクター細胞関連脳症症候群(ICANS)が共通する免疫学的有害事象として知られている.CRSはIL-6を主体とした炎症性サイトカインの過剰放出による全身性の炎症反応で,ICANSも炎症性サイトカイン上昇を背景とした中枢神経系の有害事象である.CRS,ICANSともに正確な診断とグレードに応じて迅速な治療介入が必要となる.これらの副作用の管理には,医師だけでなく看護師や薬剤師を含む多職種チームの協力が不可欠で,患者およびcare giverへの教育が重要である.
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