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第1土曜特集 乳癌のすべて2024
知っておきたい関連知識
高齢者乳癌へのアプローチ
Clinical approach for treatment in older patients with breast cancer
澤木 正孝
1
Masataka SAWAKI
1
1愛知県がんセンター乳腺科
キーワード:
乳癌
,
高齢者
,
高齢者機能評価(GA)
Keyword:
乳癌
,
高齢者
,
高齢者機能評価(GA)
pp.459-465
発行日 2024年8月3日
Published Date 2024/8/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290050459
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日本人の乳癌患者数は年々増加し,現在は年間98,300人が罹患している.うち70歳以上の患者は全体の31.8%(約3万1千人)を占めている(全国乳がん患者登録調査報告2019年確定版).高齢者では薬剤の代謝,吸収,分布,排泄に関わる生理的機能の変化がみられるうえに個人間のばらつきが大きく,臨床試験に含まれる高齢者が少数であるため,治療の選択が不明確となることが多い.高齢者乳癌の治療にあたって,暦年齢のみで治療を手控えることは勧められず,病期,サブタイプに加え,患者個々の評価とアプローチが必要である.癌のベースラインリスクと予期される余命期間,併存症,臓器機能を考慮し,治療のリスクベネフィットを個別に勘案する.個別化アプローチのひとつである高齢者機能評価(GA)は,生命予後の予測,抗癌薬の副作用予測,足りない社会的資源の抽出という役割がある.結果を医療チームによる適切な介入に生かし,個々に最適な治療が受けられるようにサポートする役割を担う段階にきている.
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