Japanese
English
症例報告
乳癌,本態性血小板血症を伴い高齢者に発症した抗リン脂質抗体症候群の1例
Antiphospholipid syndrome associated with mammary cancer and essential thrombocythemia in an elderly woman
安芸 実扶子
1
,
石黒 直子
1
,
川島 眞
1
Mihoko AKI
1
,
Naoko ISHIGURO
1
,
Makoto KAWASHIMA
1
1東京女子医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tokyo Women's Medical University
キーワード:
抗リン脂質抗体症候群
,
高齢者
,
乳癌
,
本態性血小板血症
Keyword:
抗リン脂質抗体症候群
,
高齢者
,
乳癌
,
本態性血小板血症
pp.1280-1283
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100353
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要約
80歳,女性.2003年3月頃より,左Ⅳ,Ⅴ趾の暗紫紅色斑が出現しては軽快するというエピソードを繰り返した.徐々に色調が変わる頻度が増し,2004年2月上旬に左Ⅰ趾尖に切創を負った後に潰瘍を生じ,難治であったため当科に入院した.入院時,左Ⅰ趾尖に径10mmの黒褐色痂皮を付着した潰瘍を認め,周囲はやや暗紫紅色調を呈していた.右Ⅳ,Ⅴ趾には暗紫紅色斑を認めた.右Ⅴ趾の暗紫紅色斑の病理組織像では,真皮上・中層の毛細血管に血栓像を認め,脳MRIにて多発性脳梗塞像,APTT,PTの延長,βトロンボグロブリン,血小板第4因子,D-ダイマーの上昇,抗カルジオリピンIgG抗体高値であり,抗リン脂質抗体症候群と診断した.アルプロスタジル10μg/日の点滴とワルファリンカリウム0.5mg/日の内服で症状は軽快した.2004年6月に左乳房の乳癌,同時期に骨髄生検で本態性血小板血症と診断され,これらが抗リン脂質抗体の産生に関与した可能性も考えた.
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