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第1土曜特集 乳癌のすべて2024
知っておきたい関連知識
乳癌と妊娠をめぐる話題
Special issue for adolescent and young patient’s pregnancy
田村 宜子
1
,
清水 千佳子
2
Nobuko TAMURA
1
,
Chikako SHIMIZU
2
1虎の門病院乳腺・内分泌外科
2国立国際医療研究センター乳腺・腫瘍内科
キーワード:
妊孕性(妊娠・出産するために必要な生殖能力)
,
胚・未授精卵子凍結
,
小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業
,
FSリンク(Fertility & Survivorship Linkage)
,
妊娠期乳癌
Keyword:
妊孕性(妊娠・出産するために必要な生殖能力)
,
胚・未授精卵子凍結
,
小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業
,
FSリンク(Fertility & Survivorship Linkage)
,
妊娠期乳癌
pp.466-472
発行日 2024年8月3日
Published Date 2024/8/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290050466
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生殖可能な年齢で癌に罹患した場合,薬物療法開始前にあらかじめ胚・卵子凍結をしておき,将来の妊娠・出産の可能性を高める妊孕性温存療法という選択肢がある.患者の病状だけでなく,社会的背景にも大きく影響を受けるため,患者・医療者が十分なコミュニケーションの下で,治療を選択していくことが重要となる.妊孕性温存療法は保険外診療であるが,条件を満たした場合に公的助成を受けることができること,いつ胚移植を含めた妊娠を試みるのか,5年以上続く内分泌療法を中断して試みることの是非,タモキシフェンのwash out期間の考え方など,実践の際に知っておくべき課題も多い.また,若年乳癌患者のなかにはまれではあるが妊娠中に癌が発見されることもあり,妊娠継続しながらどのような治療を行えるのか,乳癌のタイプや進行度だけでなく妊娠週数に合わせた治療計画が必要になる.若者にとって,妊娠・出産を望むのか望まないのかという話題は,本人の社会環境や価値観に大きく影響を受けるデリケートな話題であるが,若年乳癌患者の治療を進めていくにあたって不可避の検討課題でもあり,医療者の十分な知識や理解の下で,患者とのSDM(shared decision making)が求められる.
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