Japanese
English
第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管疾患と血管を標的とした治療法
IL-6シグナルによる肺動脈性肺高血圧症の病態形成機構
The Pathogenesis of pulmonary arterial hypertension via IL-6-dependent signaling
中岡 良和
1,2
,
稲垣 薫克
1
Yoshikazu NAKAOKA
1,2
,
Tadakatsu INAGAKI
1
1国立循環器病研究センター研究所血管生理学部
2同病院心臓血管内科
キーワード:
肺動脈性肺高血圧症(PAH)
,
炎症
,
インターロイキン6(IL-6)
,
SM-22α-Cre
,
レグネース1
Keyword:
肺動脈性肺高血圧症(PAH)
,
炎症
,
インターロイキン6(IL-6)
,
SM-22α-Cre
,
レグネース1
pp.1104-1111
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131104
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は,遠位の肺動脈(肺小動脈,肺細小動脈)に原因不明の狭窄・閉塞を生じ,肺動脈圧上昇から右心不全をきたす厚生労働省の指定難病のひとつで,肺高血圧症(PH)の最も典型的な臨床像を示す疾患群である.PAHは遺伝性素因と外的素因のクロストークにより発症すると考えられている.PAH発症において遺伝性素因は重要とされるが,その疾患浸透率は約20%であり,PAH発症には外的素因として炎症,感染,薬物・毒物曝露などが重要と考えられている1).しかし,外的素因によるPAH病態形成機構の詳細は明らかでない(図1).筆者らは炎症性シグナルに焦点を当てて,PAH発症機構の研究を進めてきた.本稿では,PAH病態形成で炎症性サイトカインのなかで重要な役割を担うインターロイキン6(IL-6)シグナルに焦点を当てる.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.