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第1土曜特集 肺高血圧症のすべて――病態研究と治療法の最前線
トピックス
肺高血圧症に対する肺移植の現状と課題
-――長い肺移植待機期間と周術期管理
Current status of lung transplantation for pulmonary hypertension in Japan
此枝 千尋
1
Chihiro KONOEDA
1
1東京大学医学部附属病院呼吸器外科
キーワード:
肺移植
,
肺動脈性肺高血圧症(PAH)
,
体外式膜型人工肺(ECMO)
Keyword:
肺移植
,
肺動脈性肺高血圧症(PAH)
,
体外式膜型人工肺(ECMO)
pp.421-425
発行日 2023年2月4日
Published Date 2023/2/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28405421
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肺移植は,肺高血圧症患者にとって救命のための最終手段となる治療である.日本では1998年にはじめての生体肺移植が,2000年にはじめての脳死肺移植が施行されて以降,肺移植数は徐々に増加している.しかし肺移植を希望する患者も増えており,待機登録後,肺移植に至るまでの平均待機期間は900日と長期に及ぶ.肺高血圧症患者の多くは肺移植登録時に右心不全を併発しているが,長期の待機期間中に現病が進行し,右心不全は一層悪化する.このことは肺移植手術中から術後早期においての管理をきわめて困難なものとする.肺移植直後急激に右心系から肺を通り左心系へと還流する血液が増加するため,急性左心不全の予防も必要となる.一方で,肺移植周術期を乗り越えた場合の長期予後は,他疾患に対する肺移植患者に劣ることはない.本稿では,肺高血圧症に対する肺移植の歴史,肺移植の種類,肺移植実施施設への紹介のタイミング,肺移植周術期管理と長期予後など,肺高血圧症と肺移植について概説する.
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