Japanese
English
第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
診断
うつ病の病態における脳由来神経栄養因子(BDNF)とインターロイキン6(IL-6)
Brain-derived neurotrophic factor(BDNF)and interleukin-6(IL-6) in the pathogenesis of major depression
吉村 玲児
1
Reiji YOSHIMURA
1
1産業医科大学医学部精神医学講座
キーワード:
うつ病
,
脳由来神経栄養因子(BDNF)
,
インターロイキン6(IL-6)
,
バイオマーカー
Keyword:
うつ病
,
脳由来神経栄養因子(BDNF)
,
インターロイキン6(IL-6)
,
バイオマーカー
pp.1125-1128
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131125
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
脳由来神経栄養因子(BDNF)とインターロイキン-6(IL-6)は,うつ病の病態生理に重要な役割を果たす.BDNFは神経可塑性を促進し,学習や記憶に寄与するが,うつ病患者ではその血中濃度が低下しており,抗うつ薬や電気痙攣療法(ECT)により回復することが確認されている.しかし,BDNF濃度の変化は治療効果に必ずしも一致しない.IL-6は炎症反応を媒介し,うつ病患者の血中IL-6濃度は健常人と比較して高値を示し,症状の重症度と正の相関がある.抗うつ薬治療はIL-6濃度を低下させるが,その効果には個体差がみられる.BDNFおよびIL-6はうつ病のバイオマーカーとしての可能性があるが,さらなる研究が必要である.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.