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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.1
免疫システムにおける自己認識機構の解明に向けた有機化学的取り組み
-――可視光応答性光触媒を利用した近接依存性ラベリング技術
Organic chemistry approaches to elucidate self-recognition mechanisms in the immune system
井貫 晋輔
1
,
松岡 巧朗
1
Shinsuke INUKI
1
,
Takuro MATSUOKA
1
1京都大学大学院薬学研究科創薬有機化学分野
キーワード:
分子間相互作用
,
細胞-細胞間相互作用
,
有機化学
,
可視光応答性光触媒
,
近接依存性ラベリング
Keyword:
分子間相互作用
,
細胞-細胞間相互作用
,
有機化学
,
可視光応答性光触媒
,
近接依存性ラベリング
pp.778-782
発行日 2024年6月8日
Published Date 2024/6/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289100778
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SUMMARY
免疫系は主に病原体や腫瘍などの “非自己” である異物に対する防御において中心的な役割を果たしている.また,近年,“自己” 分子も免疫センサーにより認識され,さまざまな生理的機能や疾患の発症に関連していることが明らかになりつつある.ここ数十年の研究により,免疫機構を支配する分子,細胞,組織レベルの複雑なメカニズムが解明されてきた.しかしながら,自己成分などが関わる弱い分子間相互作用や細胞-細胞間の微弱なシグナルの同定・定量のためには,より高い解像度を持つ解析法が必要とされる.本稿では,このような解析の基盤技術として,可視光応答性光触媒を用いた近接依存性ラベリング法を紹介する.この手法は,可視光によって励起された触媒に近接した分子を化学的にラベリングするものである.近年,タンパク質や細胞表面の化学修飾法への応用が進んでおり,一部は免疫システムの機能解析へ展開されている.
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