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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.7
自己認識機構の解明と機能的理解 腸内細菌を自己として認識するγδT17細胞による宿主–腸内細菌共生関係構築
γδT17 cells recognize commensal bacteria as self and contribute to the establishment of host-commensal bacteria symbiosis
髙橋 大輔
1
Daisuke TAKAHASHI
1
1慶應義塾大学薬学部生化学講座
キーワード:
γδT17細胞
,
Vγ6+γδT17細胞
,
腸内細菌
,
小腸パイエル板
,
実験的脳脊髄炎
Keyword:
γδT17細胞
,
Vγ6+γδT17細胞
,
腸内細菌
,
小腸パイエル板
,
実験的脳脊髄炎
pp.540-545
発行日 2024年8月17日
Published Date 2024/8/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290060540
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SUMMARY
宿主と腸内細菌の共生関係において,宿主は腸内細菌を “自己” の一部と認識し,個体ごとに異なる腸内細菌叢を維持している.共生関係を構築するうえで,CD4+T細胞によるMHCクラスⅡ―ペプチド抗原の認識が重要であり,“自己” である腸内細菌を排除しないように免疫応答を調整する.しかし,この調整機構の破綻は腸内細菌に対する炎症応答を誘導する.腸内細菌抗原と宿主抗原が類似している場合,この炎症は自己免疫応答のリスクを含む危険なものになると考えられる.したがって,宿主はCD4+T細胞によるペプチド抗原の認識以外にも,共生関係を担保する仕組みを発達させてきたと想定できる.その候補として,本稿ではγδT細胞による腸内細菌抗原の認識に着目する.γδT細胞が腸内細菌を “自己” の一部と認識して維持するうえでどのように貢献しているのかは未解明な点が多いが,一部の腸内細菌応答性のγδT17細胞が,宿主と腸内細菌の共生関係構築に寄与している可能性がある.
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