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特集 ニューロエコノミクス(神経経済学)とは何か?――ヒトの価値観が生まれる脳の仕組みの理解とその先の未来
霊長類の行動進化と神経経済学
-――線条体とドパミンの多元的価値表現
The evolution of primate behavior and neuroeconomics
網田 英敏
1
Hidetoshi AMITA
1
1京都大学ヒト行動進化研究センター・高田研究室
キーワード:
線条体
,
ドパミン
,
報酬予測誤差
,
蛍光ドパミンバイオセンサー
,
マカクザル
Keyword:
線条体
,
ドパミン
,
報酬予測誤差
,
蛍光ドパミンバイオセンサー
,
マカクザル
pp.141-144
発行日 2024年4月13日
Published Date 2024/4/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28902141
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われわれには霊長類特有の価値判断システムが備わっているかもしれない.これまでの研究により,霊長類の大脳基底核には齧歯類ではみつかっていない脳機能が存在していることが明らかになってきた.特に霊長類において顕著に発達している尾状核は,多元的な価値表現を持つ.尾状核の尾部では経験に基づく価値表現がみられ,尾状核の頭部では状況に応じて変化する価値表現がみられる.この価値表現の多元性は,脳内において価値が一元化されているとする “脳内共通通貨仮説(neural common currency hypothesis)” と対立する.近年,蛍光ドパミンバイオセンサーによりドパミン動態を計測する技術が開発され,精度高く脳内の局所的なドパミン放出動態が計測できるようになった.これにより,価値情報を伝達するドパミン信号も線条体部位ごとに異なることがわかりつつある.本稿ではマカクザルの知見を基に,われわれの脳が多元的な価値表現を持つ理由について論じる.
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