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特集 ニューロエコノミクス(神経経済学)とは何か?――ヒトの価値観が生まれる脳の仕組みの理解とその先の未来
科学の方法的哲学と潜在能力アプローチ
Methodological philosophy of science and the capability approach
後藤 玲子
1
,
神林 龍
2
Reiko GOTOH
1
,
Ryo KAMBAYASHI
2
1帝京大学経済学部
2武蔵大学経済学部
キーワード:
潜在能力アプローチ
,
外出機能
,
利用能力
,
グループ
Keyword:
潜在能力アプローチ
,
外出機能
,
利用能力
,
グループ
pp.145-148
発行日 2024年4月13日
Published Date 2024/4/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28902145
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本稿のベースとなる研究のポイントは,観測された個々人の機能ベクトルを基に,観測されない個人の潜在能力をいかに推定するかにある.これに対する従来の標準的な解答は,多数の傾向性を連続的に引き延ばすことである.おそらくビッグデータに基づく生成AIの論理もそれに尽きるであろう.しかし,その方法は普遍性,一般性,標準性,完備性を当是とするリベラリズムの轍を踏むことにならないであろうか.これまで経済学が陰画的に明らかにしてきたことは,標準ケースの普遍化という方法では,困難ケースを包含できないどころか,標準ケース間の協力すら実現できないこと,困難ケースへの配慮こそが協力を促す契機となることであった.本稿が紹介する潜在能力アプローチは主流派経済学の最大の理解者であるとともに,最大の批判者でもある.脳科学との本格的な対話の素材として紹介したい.
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