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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学とシングルセル解析
自然免疫応答の遺伝的多様性を単一細胞分解能で理解する
Mapping interindividual dynamics of innate immune response at single-cell resolution
熊坂 夏彦
1
Natsuhiko KUMASAKA
1
1東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター デジタル・ゲノミクス分野
キーワード:
シングルセル
,
ガウス過程,発現量・量的形質座位(eQTL)
,
自然免疫
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
Keyword:
シングルセル
,
ガウス過程,発現量・量的形質座位(eQTL)
,
自然免疫
,
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
pp.1213-1219
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131213
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感染症や自己免疫疾患のゲノムワイド関連解析(GWAS)において同定された感受性遺伝子座の一部は,細胞の免疫応答の遺伝的多様性に寄与していることが示唆されている.本研究では,細胞の異なる環境下における遺伝子発現の遺伝的多様性を解析するGASPACHO(GAuSsian Processes for Association mapping leveraging Cell HeterOgeneity)という新たな統計手法を提案し,自然免疫応答下にある20,000以上のヒト皮膚線維芽細胞の遺伝子発現を解析した.その結果,ゲノムワイドに1,000カ所以上の発現量・量的形質座位(eQTL)を同定し,その3割が免疫に関係するGWASで同定された感受性座位との間に共局在化を認めた(事後確率50%以上).一例として,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連が認められたOAS座位の詳細なin silico機能解析を行い,OAS1遺伝子のスプライシング変異がCOVID-19のリスクを上昇させていることを突き止めた.
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