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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学とシングルセル解析
新型コロナウイルス感染症におけるシングルセル解析
Single-cell analysis in COVID-19
枝廣 龍哉
1,2,3
,
熊ノ郷 淳
2
,
岡田 随象
1,3,4
Ryuya EDAHIRO
1,2,3
,
Atsushi KUMANOGOH
2
,
Yukinori OKADA
1,3,4
1大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学
2同呼吸器・免疫内科学
3理化学研究所生命医科学研究センターシステム遺伝学チーム
4東京大学大学院医学系研究科遺伝情報学
キーワード:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
シングルセル解析
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
expression quantitative trait locus(eQTL)
Keyword:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
,
シングルセル解析
,
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
,
expression quantitative trait locus(eQTL)
pp.1206-1212
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131206
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筆者らは,日本人新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者と健常人由来の末梢血単核細胞(PBMC)を用いたシングルセル解析とともに,宿主ゲノム情報との統合解析を実施した.網羅的なシングルセルトランスクリプトーム解析により,単球中の希少細胞種であるCD14+CD16++単球がCOVID-19重症化に深く関与していることを見出した.また,COVID-19ゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果とシングルセルデータを統合解析することにより,COVID-19重症化のゲノムワイドな宿主遺伝的リスクは自然免疫細胞に集約されていることが明らかとなった.さらに,GWASで同定されたCOVID-19関連遺伝子多型のexpression quantitative trait loci(eQTL)解析により,Ⅰ型インターフェロンに関わる遺伝子であるIFNAR2遺伝子多型(rs13050728)が,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染状況下かつ単球特異的にeQTL効果を有することがわかった.シングルセルデータと宿主ゲノム情報の統合解析が,病態解明への強力な手法であることが示されたとともに,創薬や遺伝子多型に基づく個別化医療に貢献する可能性が示唆された.
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