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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学とシングルセル解析
脂肪組織のシングルセル解析はインスリン抵抗性の概念をどうアップデートするか
How will single cell analysis of adipose tissue update the concept of insulin resistance?
小野木 康弘
1
Yasuhiro ONOGI
1
1富山大学 学術研究部 教育研究推進系 未病研究センター
キーワード:
snRNA-seq(single nucleus RNA-seq)
,
脂肪細胞・脂肪前駆細胞の多様性
,
核ライブラリの特性
,
統合シークエンス解析
Keyword:
snRNA-seq(single nucleus RNA-seq)
,
脂肪細胞・脂肪前駆細胞の多様性
,
核ライブラリの特性
,
統合シークエンス解析
pp.1220-1227
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131220
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近年のシングルセル解析の進歩により,従来の脂肪細胞のインスリン抵抗性の概念が転換期を迎えている.ヒト脂肪組織の細胞ランドスケープを捉えることができるようになり,脂肪前駆細胞のみならず脂肪細胞の多様性とその脂肪部位特異性が明らかになってきている.さらに,これまで焦点の当たっていなかった細胞間ネットワークの推定と脂肪組織の空間解析による細胞分布から,細胞サブタイプに特異な微小環境の存在をうかがい知ることができるようになってきた.また,シングルセル解析データセットをこれまでに集積されたバルクRNA-seqやゲノムワイド関連解析(GWAS)などのヒトコホートデータと統合することで,肥満・2型糖尿病のバイオマーカーが同定されている.特に,脂肪細胞の特定の細胞サブタイプがインスリン感受性に関連するという知見は,シングルセル解析がもたらした重要な発見である.肥満関連疾患の発症をより早期(未病)の段階で予測することが求められるなか,シングルセル解析の臨床応用に向けた展開が期待される.
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