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第10章 腎臓
[腎細胞生物学]腎細胞におけるシングルセル解析の現状と展望
広浜 大五郎
1,2
1帝京大学 医学部腎臓内科
2ペンシルベニア大学
キーワード:
慢性腎臓病
,
シングルセル
,
シングルセルトランスクリプトミクス
,
バイオインフォマティクス
Keyword:
慢性腎臓病
,
シングルセル
,
シングルセルトランスクリプトミクス
,
バイオインフォマティクス
pp.766-770
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_766
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Summary
・慢性腎臓病の根本的な治療を模索するなかで,シングルセル解析は腎臓の精緻な機能と調整メカニズムを細胞レベルで解明するための重要な手段となっている.
・シングルセル技術により,20種類以上の異なる細胞タイプから構成される腎臓の病態を細胞レベルで解き明かし,新たな治療標的を同定する道が開かれているものの,これらの研究成果を臨床に応用するまでには,さらなる発展と挑戦が必要な状況である.
・シングルセルトランスクリプトミクス解析とは,個々の細胞の遺伝子発現パターンと量を把握し,細胞の挙動や状態を低次元で表現する技術であり,腎臓の解析に応用されている.
・シングルセル解析を用いて細胞同士の空間的関係性を解明するプラットフォームが登場し,MMP7のバイオマーカーとしての利用可能性が示された.
・腎臓領域のシングルセル解析の課題として,異なるデータセット間の再現性・解釈の難しさ,細胞間相互作用の理解があげられるが,腎臓でのシングルセルレベルでの理解が深まれば,異なるデータセット間での比較が容易になることが期待される.
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