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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学と疾患オミクス研究
ゲノム解析による発がんメカニズムの探索
Genomic analysis offers new insights into the evolutionary history of cancer
前田 紘奈
1
,
垣内 伸之
1
Hirona MAEDA
1
,
Nobuyuki KAKIUCHI
1
1京都大学医学研究科腫瘍生物学講座
キーワード:
クローン進化
,
系統樹解析
,
発がん
Keyword:
クローン進化
,
系統樹解析
,
発がん
pp.1148-1153
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131148
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革新的な次世代シークエンス技術がもたらした数々の発見によりがんのゲノム解析研究が進み,われわれは現在,多様ながん腫のドライバー遺伝子変異に関する知見を得た.がんに蓄積する体細胞変異の解析は,治療標的候補についての情報を提供するのみならず,発がんに関わる変異プロセスを解明し,さらには系統樹解析によってわれわれの体内でいつ,どのような変化が生じてがんが形成されたのかをたどることも可能にする.近年,一見正常な組織にも加齢や炎症,環境因子への曝露に伴って遺伝子変異が蓄積したクローンが拡大することが明らかになり,がんと非腫瘍組織の同時解析により,従来は詳細が不明であったがんの初期進化の自然史が捉えられるようになった.本稿では,これまでのがん進化の知見を概説するとともに,正常組織に蓄積するゲノム変化について述べ,最新のゲノム解析によって明らかになった発がんの自然史をたどる研究について解説する.
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