5．子宮内膜ゲノムに注目したがん化メカニズム

要旨

　子宮内膜は高い再生能をもつ組織であり，子宮体がんの発生起源である．近年，正常子宮内膜にもがん関連遺伝子変異が確認され，子宮内膜のゲノム異常の蓄積には基底層の地下茎構造が関与することが示された．子宮体がんでは，分子サブタイプ分類が提唱され，それぞれ特徴的なゲノム異常を示す．がん化メカニズムの解明には，子宮内膜と子宮体がんのゲノム異常のギャップを埋めることが要となる．ゲノム解析により子宮体がんの発生，進化の過程を追った1例を交え，がん化メカニズムを考察する．