Japanese
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特集 発がんのメカニズム/最近の知見
化学発がんのメカニズム
Machanism of chemical carcinogenesis
牛島 俊和
1
,
長尾 美奈子
1
Toshikazu Ushijima
1
,
Minako Nagao
1
1国立がんセンター発がん研究部
pp.9-15
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900002
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化学発がんには,発がん機構を解析するためのモデルとしての意味と,ヒトの発がん物質を検索するという意味とがある。従来,前者は化学物質が遺伝子へ及ぼす変化を中心に研究され,後者は化学物質への暴露群と非暴露群との比較対照という主に疫学的な手法を用いて研究されてきた。最近の研究により,体内での薬物動態,DNA分子と化学物質の相互作用,DNA付加体生成,その修復機構などの解析を通して,この二つの研究の間のギャップはかなり埋ってきた。また,発がんの,どのステップで,どの細胞の,どの遺伝子が変化を受けるかということもかなり判明してきている。
本稿では,おもにマウスの皮膚化学発がんから形成された多段階発がんのモデルについて解説し,その後,いくつかの実験系でのがん関連遺伝子と化学物質の関連について述べてみたい。
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