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特集 フェロトーシス(鉄依存性細胞死)――そのメカニズムの解明と,治療への応用
フェロトーシス抵抗性と発がん
The association between ferroptosis-resistance and carcinogenesis
前田 勇貴
1
,
豊國 伸哉
1
Yuki MAEDA
1
,
Shinya TOYOKUNI
1
1名古屋大学大学院医学系研究科生体反応病理学
キーワード:
フェロトーシス抵抗性
,
発がん
,
鉄ニトリロ三酢酸
Keyword:
フェロトーシス抵抗性
,
発がん
,
鉄ニトリロ三酢酸
pp.174-177
発行日 2024年7月13日
Published Date 2024/7/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290020174
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鉄は生体内で必須の金属元素である一方で,過剰な鉄はDNAの酸化ストレス傷害を介して発がんに関与することが知られている.フェロトーシスは鉄による脂質過酸化を起点とした制御性壊死であり,発がんの文脈においてはがん化に至るDNA変異を回避する防御的な役割を有していると考えられる.鉄発がんのプロセスでは,細胞は鉄によるフェロトーシスを回避するフェロトーシス抵抗性を獲得し,細胞死を免れることでDNA変異が蓄積し,がん化に至る.フェロトーシス制御系に関する研究はめざましく,さまざまな機序が明らかとなっているが,発がんの際に正常細胞はいずれかの抑制系の作用を亢進させ,フェロトーシス抵抗性を獲得していると考えられる.フェロトーシス抵抗性獲得を基軸とした発がんメカニズムの解明は新規予防法の確立につながる可能性を有しており,重要な研究テーマである.
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