FORUM 死を看取る――死因究明の場にて・Vol.7
脳死②
大澤 資樹
1
1東海大学医学部基盤診療学系法医学領域
pp.944-947
発行日 2024年3月16日
Published Date 2024/3/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28811944
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法律の整備
わが国における移植医療は,1958年に制定された「角膜移植に関する法律」(旧角膜移植法)にはじまる.対象を角膜移植に限定し,角膜移植のために眼球を死体から摘出することを認めるとともに,その要件と手続きを定めたものであった.この法律においては,臓器摘出の要件において本人の意思については触れられておらず,遺族の意思を優先させていた点に不備をかかえていた.当時の法解釈では,人は死亡したら,自らの身体の処分権にとどまらず,生前の自己決定権まで消滅してしまうと解釈され,遺族の意思決定が優先されていたのだ.
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