FORUM 死を看取る――死因究明の場にて・Vol.8
脳死③
大澤 資樹
1
1東海大学医学部基盤診療学系法医学領域
pp.1016-1018
発行日 2024年3月23日
Published Date 2024/3/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288121016
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法律改正
臓器移植に関する法律はできたが,脳死判定が増えたかというと,現実には年間10件程度にとどまった.特に小児の移植は困難で,ドナー不足の深刻な状況は変わらなかった.結局,高額の費用を集めて海外で手術を受けるという問題の改善にはあまりつながらなかった.これは,すべてを慎重に決定したことに一因があり,当初から予測されていた.そこで,諸外国のように本人の生前の意思表示がなくとも,家族の同意があれば脳死判定を行えるように,法律を改正する機運が高まった.すなわち,当初の原案のように遺族の意思で足りるとするのが筋であり,この修正に10年以上の歳月を要した.
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