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連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.5
基礎研究からみた化膿レンサ球菌による病態形成機構と宿主の防御機構
Pathogenesis of streptococcus pyogenes and host defense mechanisms from a basic science perspective
山口 雅也
1,2,3,4
,
川端 重忠
3,4
Masaya YAMAGUCHI
1,2,3,4
,
Shigetada KAWABATA
3,4
1大阪大学大学院歯学研究科バイオインフォマティクス研究ユニット
2同微生物病研究所附属バイオインフォマティクスセンター 顎顔面口腔医学情報分野
3同大学院歯学研究科微生物学講座
4同感染症総合教育研究拠点
キーワード:
化膿レンサ球菌
,
劇症型溶血性レンサ球菌感染症
,
システインプロテアーゼSpeB
,
溶血毒素ストレプトリジンS
Keyword:
化膿レンサ球菌
,
劇症型溶血性レンサ球菌感染症
,
システインプロテアーゼSpeB
,
溶血毒素ストレプトリジンS
pp.869-874
発行日 2024年3月9日
Published Date 2024/3/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28810869
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◎化膿レンサ球菌はヒトに特異的な病原細菌であり,非侵襲的な咽頭炎から致死率の高い劇症型感染症といった多様な病態を引き起こす.特に,日本における劇症型感染症の症例数はここ数年高止まりしており,年間400~1,000例の報告がなされている.化膿レンサ球菌による侵襲性病態の発症機構として,遺伝子発現を制御する二成分制御系CovR/Sに自然変異が入り,血中での生存に適した病原因子の発現パターンに変化する機構が報告されている.一方で,CovR/Sの変異によって発現が低下する分子についても,壊死性筋膜炎など劇症型病態の形成に寄与することが示唆されている.劇症型感染症のすべてでCovR/Sの変異が認められるわけではないため,いまだ未知の劇症化機構が存在すると考えられる.
本稿では,化膿レンサ球菌に関する近年の特徴的な報告を中心に解説する.技術の進歩に伴い,ヒトでのデータに基づいたうえで感染モデルで検証する解析が増加しており,より実際の病態を反映した分子機構が明らかとなっている.
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