絵で見る免疫学 基礎編(55)
宿主とウイルスの攻防(3) 宿主の免疫機構による対ウイルス防衛
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1アボットジャパン(株)器機診断薬事業部・営業学術
2栄光病院
pp.634-635
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100669
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生体防衛の最初のバリアーである体表面を突破したウイルスに対してはマクロファージや樹状細胞などの食細胞が対応し,ウイルス感染細胞はインターフェロン(interferon,IFN)α/βを産生し近隣の細胞に抗ウイルス作用を誘導する.また,NK細胞(natural killer cell)は非特異的に感染細胞を破壊する.しかし,これらの自然免疫系だけではウイルスの完全除去には至らない.獲得免疫系が誘導され,細胞傷害性T細胞が活性化されて初めてウイルスは除去される(図1).
自然免疫機構による抗ウイルス作用
ウイルスを貪食するのは主に樹状細胞である.細菌は鞭毛,リポタイコ酸,M蛋白質,リポ多糖体,シアル酸,マンノースなど多くの共通構造を持っており,マクロファージはこれら物質に対するレセプターを持っているのでこれを介して貪食する(第32巻第3号参照).しかし,ウイルスにはこのような共通構造がないのでマクロファージはあまり貪食できない.樹状細胞は周囲に存在する細菌やウイルスを大量の液体とともに飲み込むマクロピノサイトーシスによって取り込んでいる.
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