Japanese
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特集 精神疾患における環境要因と遺伝-環境相互作用
ひきこもりと精神疾患
-――従来の環境要因モデルから遺伝-環境相互作用モデルへ
Hikikomori and psychiatric disorders
――From the classical “environmental factor” model to the “gene-environment interaction” model
加藤 隆弘
1
Takahiro A. KATO
1
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
キーワード:
社会的ひきこもり
,
病的ひきこもり
,
新型/現代型うつ
,
HiDE(Hikikomori Diagnostic Evaluation)
,
1カ月版ひきこもり度評価尺度(HQ-25M)
Keyword:
社会的ひきこもり
,
病的ひきこもり
,
新型/現代型うつ
,
HiDE(Hikikomori Diagnostic Evaluation)
,
1カ月版ひきこもり度評価尺度(HQ-25M)
pp.555-562
発行日 2024年2月17日
Published Date 2024/2/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28807555
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“社会的ひきこもり(以下,ひきこもり)” は,6カ月以上にわたり,就労・学業など社会参加をせずに家庭内にとどまっている現象で,物理的にひきこもり状況にある者(以下,ひきこもり者)は国内140万人を超えると推定されている.ひきこもりは日本ばかりでなくさまざまな国で存在が認められており,2022年に出版された『DSM-5TR』には,ひきこもりが “Hikikomori” という形で掲載され,国際的にも注目されている.筆者らは,“病的ひきこもり(pathological hikikomori)” を精神疾患の一症候群として位置づけるための診断評価法を開発し,さまざまな精神疾患に病的ひきこもりが併存することを明らかにし,心理社会的要因ばかりでなく生物学的要因も萌芽的に見出している.他方,在宅ワークやオンライン授業がニューノーマルとなった現代社会という新しい環境下では,“病的ひきこもり” と “病的ではないひきこもり(non-pathological hikikomori)” との区別も重要である.本稿では従来,日本固有の文化社会現象として環境要因モデルで理解されがちであったひきこもりを,遺伝-環境相互作用モデルとして生物・心理・社会的観点から展望する.
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