Japanese
English
第1土曜特集 自然リンパ球の生理と病理
ILC2によるアレルギー性疾患の発症機構
Role of ILC2 in the development of allergic diseases
山下 博香
1
,
本村 泰隆
1,2,3
Hiroka YAMASHITA
1
,
Yasutaka MOTOMURA
1,2,3
1大阪大学大学院医学系研究科感染症・免疫学講座生体防御学教室
2同免疫学フロンティア研究センター(IFReC)免疫・アレルギー
3理化学研究所生命医科学研究センター(IMS)自然免疫システム研究チーム
キーワード:
2型自然リンパ球(ILC2)
,
上皮バリア
,
インターロイキン-33(IL-33)
Keyword:
2型自然リンパ球(ILC2)
,
上皮バリア
,
インターロイキン-33(IL-33)
pp.48-53
発行日 2024年1月6日
Published Date 2024/1/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2880148
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
これまで獲得免疫を中心に考えられてきたアレルギー性疾患の概念が,ここ10年で大きく変わってきた.その変革の火付け役となったのが2型自然リンパ球(ILC2)の発見である.花粉やダニなどに含まれる抗原によるT細胞の活性化が引き金となり,アレルギー性疾患の発症を惹起する.定説となっているこの概念に対し,ILC2は傷害を受けた上皮細胞から産生されるサイトカインIL-25,IL-33に応答し,IL-5やIL-13などの2型サイトカインを産生することでアレルギー炎症を誘導することが明らかとなった.たとえアレルゲンが存在しなくても,アレルギー性疾患の発症に至るというこれまでの固定概念を覆す知見である.最近の研究から,アレルギー症状の増悪に関わる皮膚の掻破や寒冷曝露などの環境からの刺激がIL-33発現を誘導しうることが明らかとなった.したがって,さまざまな環境因子によってIL-33を介したILC2活性化がアレルギー反応を惹起するという,アレルゲンに依存しない機序によるアレルギー性疾患の発症機序が明らかとなった.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.