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第1土曜特集 自然リンパ球の生理と病理
微小環境変化を敏感に感知するILC2
-――脂質メディエーター,ホルモン,神経伝達物質によるILC2の機能制御
ILC2 sensitive to microenvironmental changes
――Functional regulation of ILC2s by lipid mediators, hormones, and neurotransmitters
八代 拓也
1
Takuya YASHIRO
1
1大阪大学大学院医学系研究科感染症・免疫学講座生体防御学教室
キーワード:
2型自然リンパ球(ILC2)
,
脂質メディエーター
,
ホルモン
,
神経伝達物質
Keyword:
2型自然リンパ球(ILC2)
,
脂質メディエーター
,
ホルモン
,
神経伝達物質
pp.29-34
発行日 2024年1月6日
Published Date 2024/1/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2880129
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抗原受容体を持たない2型自然リンパ球(ILC2)は,サイトカイン受容体以外にもさまざまな生理活性物質に対する受容体を発現しており,周囲の微小環境変化に敏感に反応して自身の活性を調節する.たとえば,アラキドン酸(AA)の代謝物であるロイコトリエン(LT)は,ILC2からの2型サイトカインの産生を亢進し,アレルギー反応を増強する.また,雄性ホルモンであるアンドロゲンはILC2の分化を強力に抑制し,アレルギー感受性の性差を生み出す.副交感神経由来のニューロメジンU(NMU)はILC2の機能を亢進する一方で,交感神経由来のカテコールアミンは抑制することで,寄生虫感染時の生体防御反応や恒常性維持に寄与する.ILC2自体もカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やアセチルコリンといった神経伝達物質を合成することが可能で,これらはオートクラインに作用する.こうした発見は,生理的な反応における文脈に即したILC2の制御メカニズムについての理解を深め,アレルギー治療に新たな方策をもたらすことにつながる.
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