特集 神経学における最近の研究
<病理>
脱髄機構のアレルギー性背景
米沢 猛
1
1京都府立医科大学病理学教室
pp.755-759
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904921
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脱髄疾患は脱髄病変を主徴とする疾患である。この脱髄病変とは小静脈周囲のリンパ球・単球などの浸潤と食細胞賦活化による髄鞘貪喰を示し,アレルギー性機序によるものと見なされている。このような変化は多発性硬化症の新鮮病巣をはじめ,急性散在性脳脊髄炎,急性出血性白質脳炎,さらに末梢神経系でのランドリー・ギラン・バレー症候群などの脱髄巣での共通した所見である。個々の疾患はこの共通した脱髄所見にそれぞれに特有な修飾がなされている。また実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)や,実験的アレルギー性神経炎(EAN)もヒトの脱髄病変に見られると同様にリンパ球と単球の浸潤と食細胞化による髄鞘貪喰が主たる変化であり,これに動物種差による修飾像が加わった像を示している。このような脱髄病変を理解するために背景となるアレルギー性機序につき検討する必要がある。
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