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第1土曜特集 腸内フローラの研究進展と臨床応用
基礎研究の進展
上皮バリアと腸内細菌
Epithelial barrier and commensal bacteria
後藤 義幸
1,2,3,4
Yoshiyuki GOTO
1,2,3,4
1千葉大学真菌医学研究センター感染免疫分野微生物・免疫制御プロジェクト
2千葉大学災害治療学研究所災害感染症研究部門
3同感染症ワクチン開発研究部門
4千葉大学未来粘膜ワクチン研究開発シナジー拠点(cSIMVa)
キーワード:
腸内細菌
,
上皮バリア
,
腸管免疫システム
Keyword:
腸内細菌
,
上皮バリア
,
腸管免疫システム
pp.340-344
発行日 2024年11月2日
Published Date 2024/11/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291050340
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腸管は腸内細菌をはじめとする無数の外来抗原に曝される特殊な組織である.その腸管では,単層の上皮細胞が物理的・化学的な防御バリアとして外部環境と体内を分け隔てている.腸管上皮細胞は,腸内細菌の構成成分や代謝産物により,増殖や機能が正または負に制御されているだけでなく,免疫細胞が腸内細菌からシグナルを受け,IL-22やIL-17に代表されるサイトカインを介して上皮細胞の増殖を促し,腸管上皮バリアの恒常性に深く寄与している.腸管上皮細胞が内的あるいは外的要因でダメージを受ける,つまり上皮バリアが破綻すると,腸内細菌をはじめとする外来抗原が体内に侵入し,炎症反応が惹起される.このように,腸管における上皮バリアは上皮細胞のみで構成されているわけではなく,腸内微生物や免疫細胞と協調的に相互作用することで成立している.上皮バリアは腸管の恒常性維持に極めて重要であり,腸内微生物や免疫細胞も含めた総合的な上皮バリアの制御が,感染症や炎症性腸疾患に代表される腸疾患の新規治療法開発につながることが期待される.

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