Japanese
English
第1土曜特集 自然リンパ球の生理と病理
ILC2と寄生虫感染
ILC2 and parasitic infection
濱野 真二郎
1
Shinjiro HAMANO
1
1長崎大学熱帯医学研究所寄生虫学分野
キーワード:
2型自然リンパ球(ILC2)
,
寄生虫
,
原虫
,
蠕虫
,
免疫
,
サイトカイン
,
2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)
Keyword:
2型自然リンパ球(ILC2)
,
寄生虫
,
原虫
,
蠕虫
,
免疫
,
サイトカイン
,
2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)
pp.55-59
発行日 2024年1月6日
Published Date 2024/1/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2880155
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
われわれが生きる世界は依然として “虫だらけの世界(Wormy World)” である.生体防御システムは,これら寄生虫を含む微生物との相互作用のなかで形成されてきた.2型免疫(type 2)応答は蠕虫感染に比較的共通した反応であり,高IgE血症や好酸球増多は蠕虫感染を示す臨床所見のひとつである.腸管寄生線虫が粘膜上皮を傷害すると,IL-25やIL-33などのアラーミンが放出され,2型自然リンパ球(ILC2)を活性化し,IL-13,IL-9,IL-5などの2型サイトカインの産生・分泌を促す.Type 2応答は,杯細胞や粘膜肥満細胞の過形成,平滑筋の収縮亢進,粘液やグリコサミノグリカンの産生亢進などを介して虫体と上皮細胞の結合を阻害し,虫体周囲に集積する好酸球と協働して,最終的には排虫を促す.腸管寄生線虫の効率的な排除には,ILC2およびTh2細胞由来の2型サイトカインが不可欠である.本稿では,寄生虫感染に果たすILC2の役割に関して概説する.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.