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第5土曜特集 アルツハイマー病――研究と治療の最前線
バイオマーカーとゲノム
アルツハイマー病の脳脊髄液バイオマーカー
-――AT(N)分類から5年
Update on CSF biomarkers of Alzheimer’s disease
春日 健作
1
Kensaku KASUGA
1
1新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター遺伝子機能解析学分野
キーワード:
脳脊髄液(CSF)
,
Aβ42
,
リン酸化タウ(pTau)
,
AT(N)分類
Keyword:
脳脊髄液(CSF)
,
Aβ42
,
リン酸化タウ(pTau)
,
AT(N)分類
pp.922-929
発行日 2023年12月30日
Published Date 2023/12/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28713922
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臨床診断によりアルツハイマー病理変化を検出する特異度は60~70%程度と高くないため,疾患修飾薬の使用に際しバイオマーカーによる診断が必須になると考えられる.脳内でのアミロイドβ(Aβ)の重合・沈着を反映し,脳脊髄液(CSF)内ではAβ42は低下する.さらにAβの重合・沈着に依存して脳内でタウはリン酸化,断片化を受け,CSF内でリン酸化タウ(pTau)は上昇する.アミロイドPETはその時点までに “沈着したAβの総和,広がり” を捉えるマーカーであるのに対し,CSF Aβ42はその時点での “Aβが沈着しやすい状態” を検出するマーカーである.また,タウPETはその時点までに “蓄積した病的タウの総和,広がり” を捉えるマーカーであるのに対し,CSF pTau181およびpTau217はその時点での “病的タウが蓄積しやすい状態” を検出するマーカーである.CSFバイオマーカーはアルツハイマー病理変化を生前に検出するために有用であるが,各バイオマーカーが異常値を示すメカニズムを理解することが重要である.
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