Japanese
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特集 生体膜研究の基礎と応用
はじめに
Introduction
横溝 岳彦
1
Takehiko YOKOMIZO
1
1順天堂大学大学院医学研究科生化学・細胞機能制御学講座
pp.809-809
発行日 2023年12月23日
Published Date 2023/12/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28711809
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- Abstract 文献概要
“生体膜” は細胞内外,あるいは細胞内の区画の仕切りを担う構造体であり,古くから,解剖学,生化学,細胞生物学などの複数の学問領域において重要な研究対象とされてきた.生体膜はリン脂質,コレステロール,スフィンゴ糖脂質を中心とした脂質二重膜と,そこに埋め込まれた膜貫通型タンパク質,あるいは膜に緩く結合する表在型膜タンパク質から構成されている.リン脂質やスフィンゴ糖脂質には脂肪酸鎖の長さや不飽和度が異なる多数の分子種が存在し解析を困難にしていたが,近年の質量分析計の進化や,脂質を認識する新規プローブの開発のおかげで,これまで不可能であった脂質分子の組成や局在の解析が可能になりつつある.また,高度な折り畳み構造や糖鎖修飾のために構造解析が困難であった膜貫通型タンパク質も,クライオ電子顕微鏡の高性能化に伴って続々と構造が明らかになってきている.まさに技術の進歩が “生体膜” 研究に新しい切り口をもたらしつつあるのである.
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