Japanese
English
第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
はじめに
Introduction
中神 啓徳
1
,
森下 竜一
2
Hironori NAKAGAMI
1
,
Ryuichi MORISHITA
2
1大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学寄附講座
2同臨床遺伝子治療学寄附講座
pp.301-301
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505301
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- Abstract 文献概要
1990年に世界初の遺伝子治療として,ADA(アデノシンデアミナーゼ)欠損症に対する酵素補充療法の遺伝子治療が実施された.これが遺伝子治療の幕開けである.その後,約30年が経過し,複数の遺伝子治療がようやく治療薬としてのステージに登場し,世界の遺伝子治療の研究開発が活性化している.現在,遺伝子治療の標的疾患も多岐にわたっており,先天性疾患,がんに加えて,循環器疾患,神経変性疾患,感染症に対する臨床試験が行われ,それぞれの分野で承認薬が登場するに至っている.さらに,遺伝子治療のモダリティにも大きな変化が生まれている.ウイルスベクターに加えて,核酸医薬やDDS(ドラックデリバリーシステム)とのコンビネーションなどますます多様化し,新技術のゲノム編集を活用したin vivo遺伝子治療なども急速に発展している.特に,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大により,新興感染症の脅威と対峙するなかで遺伝子治療技術を用いたワクチンが迅速に開発されたことは,今後この分野の研究をさらに加速させる大きな転機となると予感させる.
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