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第1土曜特集 質量分析イメージング法を用いた創薬・医学研究――時空間マルチオミクスの力
アミロイドβの毒性配座理論に基づくオリゴマーモデルの合成と構造機能解析
Synthesis and structure-function analyses of the toxic oligomer models of amyloid β based on the toxic conformation theory
入江 一浩
1
Kazuhiro IRIE
1
1京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻生命有機化学分野
キーワード:
アミロイドβタンパク質(Aβ)
,
オリゴマー
,
毒性配座
,
イオンモビリティー質量分析法(IM-MS)
Keyword:
アミロイドβタンパク質(Aβ)
,
オリゴマー
,
毒性配座
,
イオンモビリティー質量分析法(IM-MS)
pp.685-691
発行日 2023年12月2日
Published Date 2023/12/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28709685
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アルツハイマー病(AD)に密接に関わっているアミロイドβタンパク質(Aβ)は,中央部分(Glu22,Asp23)でターン構造(毒性ターン)をとることにより凝集し,細胞毒性を示す.近年,高分子量の凝集体(フィブリル,アミロイド線維)よりも低分子量のオリゴマーが毒性本体と考えられている.そこで,各種多価性アミノ酸リンカーにより40残基のAβのさまざまな位置で架橋した二量体および三量体モデルペプチドを合成し,それらの構造機能解析を行った.その結果,それぞれのモデルにおいて,細胞毒性を示すうえで最も適切な架橋位置ならびに架橋長を明らかにすることができた.これらのモデルの凝集体の分子量を,イオンモビリティー質量分析法(IM-MS)ならびにNative PAGEにより解析したところ,細胞毒性を示すためには150量体以上の凝集体を形成すること,また,安定なオリゴマーとして存在することよりも毒性ターンを特徴する毒性配座をとることが,毒性発現において極めて重要であることが明らかになった.
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