トピックス
髄液中アミロイドβ蛋白
石井 一弘
1
,
森 啓
1
1東京都精神医学総合研究所分子生物学部門
pp.389-391
発行日 1998年4月1日
Published Date 1998/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903392
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はじめに
アミロイドβ蛋白(amyloid β protein;Aβ)はアルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)の脳皮質に出現する老人斑(シミのような沈着物)の主要な構成成分であり,病因蛋白の1つである.老人斑は正常老人の脳にも少数ではあるが認められるが,ADでは多量の老人斑が生じる.また,Aβは39〜43アミノ酸残基からなる分子量約4kDaのペプチドであり,神経細胞で作られ,細胞外に分泌される.老人斑は分泌されたAβが不溶化し,線維化した後に形成されると考えられる.老人斑を含む脳内Aβの一部は髄膜を通り,血中Aβは血液-脳関門を経て髄液中に分泌され,髄液中Aβとして検出されると推定されているが,髄液中Aβの詳細な由来はまったく明らかになっていない.
しかし,いまだに確定的な生化学的診断マーカーがないADにおいて,アミロイド原因説に沿って髄液中Aβ量を測定し,AD診断マーカーの可能性を追求するのは当然の流れであると思われる.本稿では最近の報告を中心に髄液中Aβ測定の有用性を述べたい.
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