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第1土曜特集 老化を標的とした疾患予防・治療
各論
ハダカデバネズミを用いた老化研究
-――最長寿齧歯類ハダカデバネズミの老化耐性機構の解明に向けて
The research for uncovering the mechanism of aging resistance of the naked mole-rat
――The longest-lived rodent
中村 一輝
1
,
河村 佳見
1
,
三浦 恭子
1
Kazuki NAKAMURA
1
,
Yoshimi KAWAMURA
1
,
Kyoko MIURA
1
1熊本大学大学院生命科学研究部老化・健康長寿学講座
キーワード:
ハダカデバネズミ
,
老化
,
DNA修復機構
,
タンパク質の恒常性
,
細胞老化
Keyword:
ハダカデバネズミ
,
老化
,
DNA修復機構
,
タンパク質の恒常性
,
細胞老化
pp.399-404
発行日 2023年11月4日
Published Date 2023/11/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28705399
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ハダカデバネズミ(以下,デバ)は,マウスと同程度の大きさでありながら最大寿命が37年もある最長寿齧歯類である.また,デバは加齢に伴う死亡率の上昇が認められておらず,循環機能や生殖能などの生理的機能の加齢による低下も認められていない.さらに,がんやアルツハイマー病などの加齢性疾患への罹患がほとんど確認されていない.つまり,デバは老化およびがんなどの加齢性疾患に対して顕著な抵抗性を示す哺乳類であり,“老化/がん化抑制法” の開発のための新たなモデル動物として注目されている.本種の老化耐性の分子生物学的機構についてはいまだに不明な部分が多いものの,近年の研究により少しずつ明らかになりつつある.本稿では,一般に老化や加齢性疾患との関連が報告されている,DNA損傷に対する修復機構やタンパク質の恒常性,細胞老化についてのデバのこれまでの知見,ならびに最近,筆者らが報告したデバ特有のセロトニン代謝制御が引き起こす老化細胞死による内因性の老化細胞の除去機構について紹介する.
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