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特集 冬眠研究の最前線――人工冬眠への挑戦
哺乳類屈指の低酸素・高二酸化炭素耐性動物
-――ハダカデバネズミ
Remarkable hypoxia- and hypercapnia-tolerance in naked mole-rats
岡 香織
1
,
三浦 恭子
1
Kaori OKA
1
,
Kyoko MIURA
1
1熊本大学大学院先導機構,同大学院生命科学研究部老化・健康長寿学講座
キーワード:
ハダカデバネズミ
,
低酸素耐性
,
高二酸化炭素耐性
Keyword:
ハダカデバネズミ
,
低酸素耐性
,
高二酸化炭素耐性
pp.217-220
発行日 2021年4月17日
Published Date 2021/4/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27703217
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ハダカデバネズミは,アフリカに生息する無毛で出っ歯の見た目が印象的な齧歯類であり,近年,医学生物学分野の新たなモデル動物として注目を集めている.この小さな齧歯類は老化・発がん耐性を持つだけでなく,われわれヒトにとっては致死的な低酸素・高二酸化炭素環境下で数時間から数日以上生存可能という,哺乳類でも屈指の低酸素・高二酸化炭素耐性動物である.その耐性には,エネルギー要求量の低下や代替的なエネルギー源利用を可能にする代謝調節,ストレス環境下での細胞へのダメージ軽減につながる遺伝子発現変化,遺伝子変異による酸への不感受性・耐性の獲得などが関与することが明らかとなってきている.今後,ハダカデバネズミを含めた非モデル動物を活用することで,低酸素・高二酸化炭素ストレスを克服するメカニズムの理解がますます深まることが期待される.
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