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第1土曜特集 老化を標的とした疾患予防・治療
各論
老化に関連したヒトゲノム情報
Human genome information related to aging
鎌谷 洋一郎
1
Yoichiro KAMATANI
1
1東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑形質ゲノム解析分野
キーワード:
老化
,
ヒトゲノム情報
,
オミックス時計(Omics clock)
Keyword:
老化
,
ヒトゲノム情報
,
オミックス時計(Omics clock)
pp.395-398
発行日 2023年11月4日
Published Date 2023/11/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28705395
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本稿では,ヒト集団のゲノム解析によって行われる老化の研究について解説する.大規模なヒト集団において同じやり方で取得された老化データを解析するため,この研究分野では必然的に,最も頻繁に解析されている老化データは簡易で正確に計測できる “年齢” である.生物にはある程度一定の寿命があり,老化についての生物学的プロセスが加速している人では死は早く訪れ,一方で老化が遅くなっているなら長生きする,それらに関連する遺伝子を探索するという基本的考え方によるものである.たとえば,百歳以上長寿者(百寿者,センテナリアン)を統計学的な意味での “症例” として扱い,若年者を対照者として超長寿者に特有の遺伝的パターンを探すというのがひとつの方向性である.ただし,この場合の適切な対照者とは何かというのは尽きることのない議論をよぶ点で,またこれが研究間で結果が一致しないことの一因となっている可能性がある.もうひとつの方向性は,死亡時の年齢そのものを量的な表現型として扱い,より長生きすることに関連する遺伝子を探索するというものである.とりわけ,現在データ取得中のコホートでは,そもそも現時点でほとんどの参加者が存命であることもあり,両親の死亡時年齢を用いる研究が多数実施されている.本稿ではこれらを解説した後,最後に少しだけ新しい話題としてのエピジェネティック年齢を含むオミックス時計(Omics clock)のゲノム解析にも言及する.
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