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第5土曜特集 超高齢社会を支える医学・医療の提案
基礎老化研究
老化ストレス応答研究
Basic research for aging stress response
清水 孝彦
1
Takahiko SHIMIZU
1
1国立長寿医療研究センター老化ストレス応答研究PT
キーワード:
老化
,
ストレス応答
,
生体防御
Keyword:
老化
,
ストレス応答
,
生体防御
pp.364-369
発行日 2021年10月30日
Published Date 2021/10/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27905364
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環境中には,生体にさまざまな刺激(ストレス)を与える物質が溢れている.紫外線や放射線,熱に加え,工場や車の排気ガス,煙草の煙,食品など種々の化学物質に日々曝されている.さらに,ウイルスや細菌などの微生物感染や,飢餓などによる栄養素不足で生存を危ぶむ危機にも日々曝される.生物はこれらのストレスや感染に応答・対抗するため,生体防御系を巧妙に樹立し,環境に多様かつ柔軟に適応することで恒常性を保ち生存している.ただし,ストレスが防御系を凌駕すると細胞傷害や組織傷害をもたらし,疾患の遠因になる.また,年を経る加齢でもストレスは傷害として蓄積し,また応答機構も正しく応答しなくなる.それらの結果,傷害蓄積や応答変調が細胞や組織の恒常性を徐々に破綻させ,慢性炎症や老化の要因になる.本稿では,生物が生体防御機構のなかで獲得したストレス応答機構を老化の側面から概説し,老化を制御する概念として “老化ストレス応答” について論じたい.
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